今冬もフェリーでの北海道帰省を決意。乗船２ヶ月前に電話にて予約手配を行った。往路は直江津−室蘭便が確保できたものの，復路は直江津航路に就航する船の法定検査とやらで年明けは運休となり室蘭−大洗便となった。出発は往路が12月28日深夜，復路が1月8日深夜と少し長めの年末年始休暇を取った。

　さて出発当日の12月28日。ここ数日，日本海には低気圧が居座り佐渡航路は運休が続いているとの話を聞いていたので，果たして無事船が出れるのか否か不安であったのだが，予想は的中。午前中自宅にフェリー会社より連絡があり，今回乗船する船は博多からやってくるのだが荒天の為遅れており，直江津入港が明日12月29日10時頃になりそうとのこと。それでも乗船するか否かの確認があり，我が家は乗船することを告げると明日朝9時までに直江津港に来てくれとのこと。そこでこの日の出発はなくなったのだが，明朝早くに松本を発たなければいけないので夜は早めに就寝した。

　12月29日，朝4時半に目が覚める。荷物の準備も完璧にし，まだ眠りこけている2歳の息子も強引に着替えさせて起こしてしまい朝6時前に松本の自宅を車で出発，松本ICより長野道に入り北上する。 夜明け前の高速道路は県外からのスキー客で交通量も多い。山を越えて長野市付近までは快調に進んだ。しかし信州中野ICから先はチェーン規制。我が家の車はスタッドレスタイヤなので検問を無事通り抜けることができた。長野・新潟県境付近は完全な雪景色で路面も凍結しており慎重な運転となった。妙高SAで休憩を取り順調に進んで北陸道上越ICで下道に降りた。

　時間はまだ朝8時頃。充分余裕のある状態で直江津に到達し，途中コンビニで買い物をしてからフェリーターミナルへ向かった。

　直江津港にはまだ船は到着していなかった。フェリーターミナルにはホワイトボードでの表示がありこの日乗る船，れいんぼうべるは9時入港，11時出港予定とのこと。乗船手続きを済ませ，しばし車内で待つ。岸壁脇に停めた車内から見える海の様子は大変なもの。防波堤に波が当たって砕ける様子が見て取れる。時々突風が吹き，本当に出港できるのか不安になった。

　れいんぼうべるは9時になっても入港せず，結局１時間遅れの10時になって姿を現した。構内で転向して着岸。博多からの荷降ろしが順次始まった。船内の清掃が終わり次第乗り込みが始まる旨，放送が入りいよいよ乗船準備。一般徒歩客と同乗者は11時過ぎに乗り込みが始まり，車もそれに続いて積み込みが始まった。冬は比較的車のほうは空いており甲板ではさほど難儀なことなく駐車することができた。

　船は直江津港の防波堤を出た途端揺れだした。昼食を終えて部屋に戻る。明らかに今日の船旅は揺れとの戦いになるであろう。そんな訳でビールを飲み，朝の寝不足を補う為，家族全員で昼寝に突入した。

　目が覚めたのは14時半頃。船は案外揺れていない。外を見ると佐渡島が見える。ちょうど本州との狭間で波が穏やかなのだろう，と思っていたらその通り。佐渡を過ぎた辺りから次第に船は妙にうねり始めた。これに伴い気持ちが悪くなってくる。マズイ，このままじゃ昨年の二の舞だ。とにかく横になっていようとベッドに寝そべっていた。しかしこの時点では大して悪化していなかったので気分転換に息子と一緒に風呂にでも入ろうと展望風呂に向かったのだが立って歩いたのが悪かった。脱衣所についた途端に吐き気に襲われてトイレに駆け込んでしまった。吐いた後は案外すっきりしてしまったのでゆっくり入浴・・・と思いきや，浴槽のお湯が大津波状態で船が揺れる度に溢れかえっている。小さな子供と一緒に入ったら危ない感じだったのでさっさと出てシャワーで済ませた。

　部屋に戻ると再び船酔いが戻ってきた。もう駄目だ〜，ってなことで一人横になってひたすら寝ていた。夕飯はカミさんと子供だけで行くこととなってしまった。ところで船であるがこの荒れた海にも関わらず順調に航行し，室蘭到着は朝3時半に早まるとの放送があった。

　断続的ではあるがひたすら眠りつづけて目が覚めたのが夜12時過ぎ。気がつくと船の揺れは治まっていた。どうやら日本海から津軽海峡に抜けたらしい。吐き気もなくなっており急に空腹感に襲われた。家族の寝ている脇で一人パリポリとお菓子をほおばった。外を見ると陸が近い。噴火湾に入った様子だ。すると朝2時頃，放送が入る。室蘭港入港が早まって3時になるとのこと・・・遅れを取り戻そうと随分と船長さんは頑張ってくれちゃったらしい。（苦笑）　しかし乗客のことを考えていただきたい。朝3時に船外に放り出されてみんな一体どうすればいいのでしょう？　私のように室蘭に実家があり何時に帰っても良い環境の客ならいいが，大部分の客がこれから遠方に移動する人達である。小さい子供もいるであろう。せめて朝6時くらいまでは船内で寝せておくくらいの配慮が欲しいものだ。世の中には人を寝せる為にわざわざのんびり走る夜行列車もあるくらいなのだから。

　船は2時には室蘭港に入港，2時半には着岸した。車両甲板で車に乗り込み，朝3時に船外へ。4ヶ月ぶりの室蘭は冬模様で道路は凍結しており，少し恐い思いをしながら実家へ向かった。港から15分程の実家ではあらかじめ布団を敷いておいてくれたので，すぐに横になることができた。